こだわり

『フリーランス美容師』とは?メリット、デメリット、給料について

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近年、美容業界において注目される働き方の1つに『フリーランス美容師』というものがあります。その注目度は益々上がる傾向にあり、今後さらにその人口は増えることが予想されます。

僕自身、新卒から9年間所属したサロンを退社し2016年より『フリーランス美容師』として今現在に至るまで活動を続けていますが、約1年間の活動のなかで感じた経験をもとに『フリーランス美容師』に関するまとめをお話させて頂きます。

今後『フリーランス美容師』にチャレンジされる方のご参考になれば幸いです。

フリーランス美容師とは?

ハサミを持つ美容師

そもそも『フリーランス美容師』とはどのような人たちなのでしょうか?

『フリーランス美容師』とはその名のとおり、フリーランスとして活動する美容師のこと。つまり、特定のサロンに所属せず雇用契約を結ばずに個人事業主として活動する美容師のことを指します。

主に「面貸し」「業務委託」などで活動をする美容師がこれにあたりますが、ここではよりその意味合いに近い「面貸し」美容師を『フリーランス美容師』と定義してお話させて頂きます。

現代のフリーランス美容師

ハサミを持つ美容師

この記事をご覧になられている方は美容師の方が多いと思いますが、この記事に興味を持ち読み進めているということ自体が、フリーランスという働き方への注目の表れではないでしょうか。

フリーランスという働き方そのものは以前からもある形ですが、これほど広く関心を集め認知されるようになったのはここ数年、とくに1〜2年のことかと思います。

その理由はいくつかあるのですが、ひとことで言うと「美容師がフリーランスとして働ける環境が整ったから」だと考えます。

メリット

楽しそうな美容師

フリーランスには一般的なサロン所属と異なる「特有のメリット」がいくつか存在します。順にみていきましょう。

拘束時間がない

サロンに所属している場合、そのサロンで定められた営業時間があります。決められた時間に出勤をし、サロンワークをし、決められた時間に退勤をする。

たとえ自分の担当するお客様がいない時間であっても、自分の都合で遅く出勤をしたり早めに上がるということは許されません。営業時間外に練習会や会議などを行うケースもありますが、当然これらも自己都合でキャンセルできるものではありません。

一方でフリーランスの場合こうしたサロンで定められた時間というものは一切なく、自分のお客様を担当している時間のみが勤務時間となります。

ご予約が午後からであれば午後から出勤するのもよし、夕方で終わってしまえばそのまま帰るのもよし。朝礼や終礼もなければ、練習会や会議などもない。

自身の顧客を対応している時間のみが、美容師として活動する時間になります。

それ以外の時間をどのように過ごそうが、自分次第ということです。

人間関係の煩わしさがない

美容師に限らず不特定多数の人たちが集まれば、必ず摩擦や揉めごとは生じてしまいます。

美容師における人間関係を考えたとき、お客様との関係でストレスを感じるといったケースはあまり耳にしません。どちらかといえば美容師同士、つまりサロンのスタッフ間での関係性がストレスを生む大きな原因であるように思います。

その点フリーランスの場合「自分とお客様」以外の人間関係が一切存在しません。もちろんこれはマイナス要素にもなり得るのですが、そちらは「デメリット」の項で後述いたします。

先輩後輩上司部下といった概念が、フリーランスには存在しないのです。

やればやるだけ給料も上がる

フリーランスの給与形態は「完全歩合」です(厳密には給与ではなく報酬です)。つまり売上が上がれば上限なく収入も増えていきます。

サロン所属のスタイリストでも歩合のつく給与形態は一般的ですが、「完全歩合」となると雇用契約ではありえません。

やればやるだけ収入が増えるということはつまり、お客様から頂く代金が直接的に自分の収入になるということです。これは、お客様から頂く代金への責任と共に「ありがたみ」を感じる大きな要因となります。

お客様に囲まれ喜んで頂ければ、その分自身の生活も豊かになるのです。

お客様との繋がりが深い

フリーランスのサロンワークは基本的に「マンツーマン」スタイルです。つまりお客様のご来店から退店までを付きっきりで担当することになります。これはアシスタントのいる一般的なサロンでは実現できないシステムでフリーランスの特権ともいえますが、このスタイルは担当美容師とお客様の親密度に影響します。

マンツーマンで担当することにより、お客様とコミュニケーションが取りやすく「信頼感」にも繋がります

これはサロンという「お店」ではなく、美容師という「人」で選ばれているからこその関係性です。

とにかく自由

「勤務時間」「料金設定」「使用薬剤」「ルール」など、サロンワークにおける決定権はすべて自分自身にあります。当然そこには責任が伴いますが、責任を伴うからこそ100%のエネルギーで望むことができます。

さらには新たなアイディアを思いついたときなど「おもしろい」と思った施策をすぐに試みることが可能です。

このフットワークの軽さはフリーランスならではですし、時間の流れの早い現代においては必須な要素です。

デメリット

つまらなそうな美容師

フリーランスにおける「デメリット」もメリット同様に存在します。こちらも順にみていきましょう。

教育環境がない

先述のメリットの項で挙げた「人間関係」におけるストレスがない一方で、技術などの伝承に携われないという側面があります。

先輩から教わることもなければ、後輩へ教えるということもありません。これは技術職である我々美容師にとっては大きな問題ですが、今やこの「教育」という要素をサロン以外のものが担うケースが増えています。

YouTubeなどの動画コンテンツで技術を学んだり、Go Todayなどのオンラインコミュニティで情報交換ができる時代なのです。

参照 : GoToday 美容師の独立支援コミュニティ

安定がない

こちらもメリットの項で挙げた「完全歩合」のマイナスの側面ですが、売上がなければ当然収入もありません。

つまり、毎月得られる安定した固定給がないのです。

これにより「不安」な日々を送る可能性がありますし、社会的信用度にも影響する場合があります。

もしものときのリスクが高い

前述のとおり売上がなければ収入もないということは、病気や怪我、または不慮の事故など「もしものとき」のリスクが非常に高いということになります。

身体が健康で不自由なく働けるうちは問題ありませんが、万が一思うように働けなくなった場合のリスクは考えておかなければなりません。

そういった点で美容業以外での副業を開拓し、美容業との「ダブルワーク」が必須なのかもしれません。

仕事とプライベートの境が曖昧

フリーランスの場合「顧客管理」や「予約管理」などをすべて自身で行う必要があるため、サロン勤務以外の時間においても常にお客様とのやりとりが生じます。

そのため、デート中や遊びの最中であっても常に意識を切らずにいる必要があります。

オン/オフの切り替えのない働き方です。

確定申告が必須

会社員としてサロンに勤めているうちは、所得税や年金、健康保険などのいずれかもしくはすべてを会社が代わりに手続きをし納めていますが、フリーランスとして自営業を営む際には「確定申告」により所得税と住民税を、そして年金や健康保険を自ら納める必要があります。

会社に頼っていた事務的な作業を、自身で行わなければなりません。

お給料は?

数枚の一万円札

フリーランスという働き方を考える上で1番気がかりな点は、ずばり「お給料・収入」ではないでしょうか?

先述のとおり収入は売上に比例していきますが、具体的な目安として僕自身の数字を明記しますと、今現在の利益率は約70%です。つまり売上の70%が利益となる計算ですので、月の売上が100万あれば70万が利益になり、50万の売上ならば35万が利益となります。

利益率に関しては利用する面貸しサロンのシステムや、売上単価、材料比率などの様々な要素により異なりますが、工夫次第で充分上げることが可能です。

こんな人にオススメ

ハサミと美容師

以下に当てはまる美容師の方は、フリーランスに適しています。

お客様をマンツーマンで担当したい

フリーランスの特徴はなんといってもマンツーマン施術です。目の前のお客様に100%集中したい、お客様と親密な関係を築きたい、クオリティを安定させたいという美容師の方には、マンツーマン施術が可能なフリーランスが最適です。

自己管理ができる

フリーランスの場合、他者からの拘束がないため誰からも管理をされません。これは裏を返せば「誰も面倒をみてくれない」ということです。サボろうと思えばいくらでもサボれてしまいますし、楽をしようと思えばいくらでもできてしまいます。

そういったときに、しっかりと計画性を持って自分自身を管理できる能力がフリーランスには必須となります。

集客力がある

サロンに所属していれば少なからずそのサロンのネームバリューや広報活動により自身の集客を手助けされていますが、フリーランスは自分自身がブランド力を持ちファンを増やしていかなければなりません。

近年ではwebやSNSを用いて独自のブランドを確立し集客活動を行う美容師が主流ですが、これらは必須スキルであると考えます。

リスクヘッジを考えられる

先述のとおりフリーランスは常にリスクを抱えながらの働き方なので、それに対するリスクヘッジを考えられなければなりません。美容業以外での収入を確保するためのダブルワークや、新たなシステム構築などを考える柔軟な思考が必要です。

必要なもの

美容の道具

フリーランスになるにあたり、必要なものは以下の5点。

技術力

自分1人でサロンワークを行うため、お客様の要望を叶えるための最低限の技術力は必須となります。本来ならばすべての技術を習得する必要がありますが、現代であれば「専門特化」の技術者として特定の技術を極めていくという手法も可能です。

集客力

ブログ、Facebook、Twitter、Instagramなどの「オンライン」ツールや、知人関係、ご紹介などの「オフライン」ネットワークなどのように、自分自身で集客をしないかぎり永遠に顧客は増えていかないため、これらは必須なスキルです。

顧客管理ツール

「顧客管理」をすべて自分自身で行うため、それに応じた管理ツールが必須です。さらにフリーランスの場合は所属店舗が存在しないため、持ち運び可能なモバイルシステムである必要があります。

スマホやタブレット端末から専用のアプリをインストールして使用するのが主流です。

また顧客管理に関してはセキュリティ面が最重要点なので、顧客データを暗号化し二重のクラウドにて保存管理する『LiME』が安心です。

参照 : LiME(ライム) 美容師のカルテ管理をスマホで便利に!

予約ツール

サロンに所属していない以上、予約管理も自身で行う必要があります。電話の場合、施術中などで対応できないケースがあるため、LINEやメールなどのテキストメッセージツールが最適です。

なかでも「LINE@」はフリーランスの予約管理ツールとして主流となっています。

参照 : 「LINE」で美容室予約!現役美容師がオススメする『LINE@予約』とは?

覚悟と情熱

フリーランスに興味がある、でもうまくいくか不安。
このような想いを抱えている美容師の方は多いのだと思います。しかし実際、覚悟を決め飛び込んでしまえばあとはやるだけ。その立場になれば頭を使い、考え、工夫をします。

「覚悟」と「情熱」を持ってチャレンジすれば、きっと何かを掴めるはずです。

独立とフリーランスの違い

美容室と美容師

そもそも「独立」「フリーランス」はいったい何が違うのでしょうか?

まず広義な解釈をすると、組織から外れるという意味でどちらも【独立】です。

ですが、美容業界においては【独立】した上で自身で店舗を持つこと、つまり開業することを「独立」といい、一方で自身で店舗を持たない【独立】を「フリーランス」と呼びます。

・店舗を持つ【独立】→「独立」
・店舗を持たない【独立】→「フリーランス」

ではこの「店舗の有無」によって生じる具体的な違いをみていきましょう。

初期費用が違う

「独立」と「フリーランス」2つの選択肢を考えたとき、1番大きな違いが「初期費用の額」です。

当然、「独立」にかかる初期費用のほうが「フリーランス」のそれをはるかに上回るのですが、実際どれほどの費用の差があるのでしょうか?

Go Today Facebookグループ内で、開業経験のあるオーナー美容師の方々に聞いてみました。

facebookグループの投稿画像

参照 : GoToday Facebookグループ

独立開業されたオーナー美容師の方々のリアルな数字をお聞きしたところ、規模や地域による違いはあれど300万〜1000万ほどの初期費用を要しているようです。

ほとんどの方が自己資金を上回る借り入れをしており、なかには自己資金の7倍という額の融資を受けている方も。これらの額には運転資金も含まれているのですべてが初期費用ということではありませんが、多くの「借金」を抱えた状態で独立をしているということがわかります。

では、「フリーランス」の場合はどうでしょうか?

僕自身の話になりますが、ずばり「初期費用は0円」です。設備を利用しないかぎり設備費が発生しないため、マイナスに振れることがありません。

いわば「無借金」での独立です。

まとめ

『フリーランス美容師』は今後さらに認知され広まりをみせるでしょう。

僕自身、このフリーランスという働き方により「自分らしく」美容師をすることができています。

美容師の働き方は1つではありません。

そして正解もありません。

固定概念にとらわれず、柔軟な思考で美容師という仕事の可能性を共に体現していきましょう。

お付き合い頂きありがとうございます。

それでは。
 

 

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