こだわり

時にはお客様にお帰り頂く事もあります。それが僕ら美容師の役割だとしたら、

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みなさんはなぜ美容室へ行きますか?

綺麗な髪になりたいから。

それによって気分が高揚したり、自信が持てたり、仕事を頑張れたり。

綺麗な髪になりたい。そんな「期待」を持っていらっしゃるのだと僕は美容師側として感じていますし、それに応えようと日々サロンに立っています。

それらお客様の「期待」は可能な限り尽力し工夫し叶えてあげるべきですし、世の美容師たちはそのための努力を惜しまず己の技術や知識を鍛錬し高めています。

では、

そのお客様の「期待」を叶えてあげられないと判断した時、僕ら美容師はどうするべきでしょうか?

今日、僕は1人のお客様にお帰り頂きました。
お客様の「期待」にお応えできないと判断したからです。「僕にはできません」という単純な実力不足なのかもしれません。もしかしかたらやってみればできたのかもしれません。ですが僕はそのお客様との1時間のカウンセリングの後、お帰り頂く判断をしました。

サロンワークにおいて僕ら美容師はお客様の「期待」に応えるべく自身の様々な引き出しを模索しますが、その一方で客観的にそれらの期待が「過度な期待」になってはいないかというジャッジをする必要があります。

お客様は髪において素人です。それは紛れもない事実です。お客様が「期待」を持ち、理想を思い浮かべる事は何も悪い事ではなく至極当然の事です。だからこそ髪のプロフェッショナルである僕ら美容師が「期待」と「現実」のバランスを見極め、冷静な判断をする必要があるのです。

それはお客様にとって時に酷な判断であるかもしれません。それでいいのです。

お客様と僕ら美容師が同じように夢を見ていては、時に取り返しのつかない事態を招きかねません。あくまでも僕ら美容師はお客様の【パートナー】として冷静な判断を求められるのです。

カラーをして明るくしたい。白髪をカバーリングしたい。ムラにはなりたくない。ツヤを出したい。セルフカラーをしている。ダメージはしたくない。

これらはすべてお客様の「願望」であり、叶えたいという「期待」です。何もおかしな事はありません。ごく自然な女性の願いそのものです。

「願望」や「期待」は必然なのです。

そしてその「願望」や「期待」を叶えるために美容室があり、僕ら美容師が存在しています。

ではなぜお断りしなければならないのか?

それはお客様と美容師との僅かな考えのズレから生じるのだと思うのです。

お客様は思います。
美容室へ行けば綺麗になれる。
美容室にちゃんと通っていれば必ず綺麗になれると。

美容師は思います。
美容室へ来てくれれば綺麗のヒントをあげられる。
美容室に通ってヒントを持って帰ってもらえれば必ず綺麗になれると。

お客様は僕ら美容師に大きな「期待」をしてくださいます。とてもありがたい事です。ですが僕ら美容師はあくまでも【パートナー】でしかないのです。なによりも主役はお客様自身なのですから。
主役であるお客様自身が自発的に「綺麗になりたい」という想いや願いを抱く事に対して、パートナーである僕ら美容師は全力でサポートする事しかできない。

主役はお客様である「あなた」自身なのです。

ですから僕ら美容師は一番身近なパートナーとして時に酷な判断をするかもしれません。願いとは裏腹に自身の髪を苛めているあなたを厳しく叱る事があるかもしれません。
何もせずお帰り頂く事があるかもしれません。それが僕ら美容師の役割なのですから。

髪が傷んで悲しむのはあなた。
思い通りいかなくて苛立つのもあなた。
そして、綺麗な髪が嬉しくて仕方なくなるのもあなたでしかないのです。

もっともっとあなたの髪を可愛がってあげましょう。大切にしてあげましょう。そして責任を持ちましょう。

僕らは全力でサポートしますし、綺麗のヒントを惜しみなく差し上げます。迷った時は遠慮なく相談してくれていいんです。

ただ、これだけは覚えておいてください。
綺麗になりたくないお客様はいないし、綺麗にしたくない美容師もいない。

僕ら美容師はいつだって本気で全力であなたの髪を綺麗にしたいと思っています。

いつでも「あなた」の味方ですから。

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