パクりとは何か?五輪エンブレム騒動を受け、美容師の視点から「デザイン」の本質を考える。
まずは少し長い記事だが、こちらをご一読頂きたい。
それでもあの五輪エンブレムは”パクリ”ではない!〜そもそもデザインとは何か?
今回の一連の騒動をメディアやネットを通し目の当たりにし、また先のような記事を読んだ上で
同じように「デザイン」を商品とする我々美容師も、まったく同じような事が言えるのではと感じた。
そもそも「デザイン」とは何か?
デザインの日本語訳は、装飾ではなく設計。そしてデザインの本質は「課題を解決すること」と「新しい価値を提案すること」
「課題を解決すること」「新しい価値を提案すること」。
これらはまさに、我々美容師が日々のサロンワークの中で毎日のように成す「ヘアデザイン」と同じである。
「髪」という媒体を通じ人々を「デザイン」する我々にとって、『デザインの意味』を今一度見直す事は今後の美容師人生において非常に重要な事であるように思う。
「ヘアデザイン」におけるデザイン論
『ヘアデザイン』と聞くと、多くの人々はその「形」や「質感」を連想する事だろう。しかし実際はそうではない(それだけではない)。
例えば、ブリーチを繰り返し色は白く手触りはパサつき、トウモロコシのひげのような状態にまで陥ったヘアーがあるとする。
これを地毛のような黒褐色のツヤのあるヘアーへ「デザインする」事は、相当な技術スキルが必要とされる。
一方でカラーやパーマ履歴のない、バージン毛を同じような状態へ「デザインする」際はどうか?
わずかなカットデザイン、もしくはトリートメントデザインのみでクリアできてしまうかもしれない。
これらは、仕上がりの「形」や「質感」における『視覚的要素』さえ同じであるが、そこへ辿り着くまでのプロセスや要した技術スキルには決定的な差が存在する。
まったく素材の異なるお客様を、似たような仕上がりに「デザイン」する事は果たしてパクりに当たるのであろうか?
「五輪エンブレム」の視覚的類似
世間を騒がせた「五輪エンブレム」とベルギーの「リェージュ劇場ロゴ」を思い出す。
これらの2つも仕上がりを見た『視覚的要素』が似ているという点で、俗に言う「パクり騒動」へと加熱した。
しかしこれら2つが、それぞれの仕上がりに辿り着くまでのプロセスはどうであったのか?
その点に関しては専門家ではないので発言は控えたいと思うが、仕上がりの『視覚的要素』=「デザイン」ではないという点だけは「ヘアデザイナー」としてハッキリと明言させて頂きたい。
「デザイン」=手段
そう。
「デザイン」とはあくまでも『手段』である。
『ヘアデザイン』にしても然り。
クライアント(お客様)の要望。与えられた素材、時間。
それらの条件に対して「デザイン」という手段で課題を解決し、価値を提案する。
やりたい事をやりたいように表現するのとは違う。
だから我々美容師は「アーティスト」ではなく「デザイナー」なのだ。
「課題を解決すること」「新しい価値を提案すること」
それこそが『ヘアデザイナー』の醍醐味である事は言うまでもない。
見えないモノを形にする
我々美容師はヘアーを通じてお客様を「デザイン」する仕事。
「ヘアー」をデザインするのではない。
ヘアーを通じて「お客様」をデザインするのだ。
お客様の「心」を。
そういった「見えないモノ」を形にする。そうして生まれる『ヘアデザイン』がその人の人生をを変える。
やはり我々美容師には、『デザイン』という言葉がしっくりくるような気がする。
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