「市販カラー」と「美容室カラー」の本当の違いを現役美容師が解説
市販で売られているカラーと美容室でするカラーの違いは何ですか?
市販のカラー剤を用いて自宅でカラーリングをするのと、美容室へ行き美容師にカラーリングをしてもらうのとでは一体何が違うのでしょうか。
市販の方が傷む?ムラになりやすい?
何となくでしかわからない、市販カラーと美容室カラーの本当の違いを詳しくお話いたします。
市販カラーの正体
出典:http://www.beautylabo.jp/whip/
ドラッグストアやスーパーなど今やどこででも手に入れる事ができる市販のカラー剤。その種類は豊富で、クリームタイプ、泡タイプ、シャンプータイプなど様々です。
色のバリエーションも多種に及び、モカブラウン、ココアブラウン、ミルクティーベージュ、シフォンマット…もはやカラー剤なのかデザートなのか区別がつかない程です。
これら豊富な種類の市販カラー剤を目の当たりにし、僕ら美容師はある違和感を感じています。それは、「髪質」や「ダメージレベル」に応じての種類分けが一切なされていないという点です。
例えばアッシュにしたいとなれば、その方がどのような髪質でどれほどのダメージ度合であっても「アッシュ」と記載された薬剤以外に選択肢はありません。
カラー剤は髪が染まらなければ商品として成り立たないため、どのようなコンディションの髪にも必ず染まるよう強めのパワー設定になっているという事です。
そこにあなたの髪質やダメージ度合は関係ないのです。
市販カラーでも綺麗に染まる
最近の市販のヘアカラーはとっても優秀なのねぇ 今まで間に合わせでヘアマニキュアは自分でやってたけど今回思い切ってカラーを自分でしてみた。全く問題なくきれいに染まった。今月は美容室行かなくて済む。予算10分の1でこれだけ綺麗に染まれば今後も美容室はカットだけで済みそう♪
— fujiko(ふ~じこちゃん) (@fujikoro) January 10, 2012
市販カラー剤の人気の要因の一つに仕上がりのクオリティが挙げられます。市販のカラー剤でも実はキレイに仕上がるのです。
一見何の問題もなく仕上がったように感じますが、このような経験に心当たりはありませんか?
染める度に明るくなる
出典:https://fullylivinglife.wordpress.com
市販のカラー剤で髪の毛全体を染めると、日を追うごとに退色していきいずれは染めた時よりも明るい状態になってしまう。するとまた同じ薬剤で全体を塗りキレイに仕上がる。また日を追うごとに退色していき、前回よりもさらに明るい状態になる。
この「負のスパイラル」を繰り返していくうち毛先は金髪のような色になり、手触りはパサつきゴワつく。
実は白髪染めも同様に、繰り返す事で見た目は黒く見えますが実際は黒い色素が堆積しているだけで、本来の状態は金髪と同じ状態にまでなっている事も。
カラー剤の構造を理解せずに繰り返し使用すると、必ずこのようなケースに陥ります。
市販のカラー剤は髪の毛に色素を入れるだけではなく、一度ブリーチで脱色をしたのち色素を入れるという構造になっている事を知っていましたか?
美容室カラーの料金が高い理由
出典:http://www.ofhair.co.jp/sp/
美容室で¥7000~8000するカラーメニューも、自分でやってしまえば¥700~800で済んでしまう。1/10のコストで出来てしまいます。
これではついつい市販カラーに手を出してしまいますよね。
では、そもそもなぜ美容室でのカラーはそれほどまでに高額なのでしょうか?
カラー料金の9割が『手間賃』
美容室のカラー料金が高額な理由。
それはずばり手間賃(てまちん)です。実は美容室で使用するカラー剤も仕入れ値は¥600〜700が相場。そう、市販のものと変わらない価格で仕入れているのです。
つまり美容室のカラー料金はそのほとんどが手間賃なのです。
ではその「手間賃」に実際どれだけの手間がかかっているのでしょうか?
手間賃=デザイン料
手間というのは単に薬剤を塗る手間の事ではなく、そこに至るまでの素材の見極めや薬剤選定、手順選定の事です。
つまり【手間賃】=【デザイン料】なのです。
デザインというと形をクリエイションすることを連想しがちですが、それだけではありません。
素材を見極めて必要最低限のパワーの薬剤を選び、最小限のダメージで理想の仕上がりにすることもデザインなのです。
そのデザインを常に提案し続ける。それが我々【プロフェッショナル】の仕事だと思うのです。
美容室カラーはオーダーメイド
僕ら美容師はカラーのオーダーを受けると、理想の仕上りの明るさ、色味、髪質、ダメージレベル、頭皮の状態、リタッチの幅、温度、湿度など様々な要素を考慮した上で数100種類の薬剤の中から最適なものを選択しています。
もちろん毛の太さやダメージ度合は前髪と襟足では違いますし、毛1本単位で見ても根元~中間~毛先ではコンディションはまったく異なります。
根元の地毛部(リタッチ)はブリーチ力のある薬剤を。中間の茶色い既染部はキューティクルが開いているのでブリーチ力・アルカリの少ない薬剤を。毛先のダメージ部はノンアルカリの薬剤もしくは酸性染毛料(ヘアマニキュア)を。
時には時間差を利用して塗り分ける事もあります。
素材に合わせた薬剤を数種類組み合わせて一つのヘアデザインを完成させているのです。
まとめ
市販カラー剤を用いたセルフカラーと美容室のカラーの大きな違いはプロフェッショナルが施すデザインの差です。
このデザインとは単にクリエイティブなスタイルに仕上げる事だけではなく、素材を見極めたオーダーメイドな処方をする事を指します。
美容室での高価なカラーリングはこのデザイン料だと考えて頂ければ、僕ら美容師も喜びます^ ^
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